水野 昭彦 さん


3月05日(月) Paris/St.Lazare9h59----(inter city)----11h57Caen
Caen/Hotel Courtonne 泊

  パリ・リヨン駅近くの[Corail Hotel]」は私達夫婦の常宿である。今回のノルマンディ行きに際し、友人たち2人とこのホテルで合流した。出発のために朝フロントに行くと、ホテルのオーナーのフランソワ氏が座っていた。先回来たときには彼はヴァカンスで会うことはできなかった。久しぶりだ。
 「サヴァ?」(お元気ですか)「ウィ サヴァ エ ヴ?」(元気ですよ あなたは?)
 思わず、握手なんかしちゃって・・・・・。

  Caen(カン)へは、パリの中心部にあるサン・ラザール駅から電車が出る。パリの地下鉄での移動はともかく階段が多い。ただ、《リヨン駅から14番に乗れば、多分エレベータやエスカレータが完備しているはずだ。それに早い。》リヨン駅で多少歩かなくてはいけないが、重い、大きなバゲージを持って行くにはその方が良いだろうと考え、ホテルを出た。大当たりだった。
(^o^) 電車出発の40分前、順調に駅に到着した。


  大きな電光掲示板の前には、自分の乗る
 電車が何番ホームから出るのかを知るため
 に、大勢の人たちが集まっている。出発の
 15分位前になると出発ホームが発表される。
 そして、大きなバゲージを引く人たちの大移
 動が始まる。
  なぜもっと早く知らせてくれないのか。
 日本では考えられないことであるが、慣
 れてしまえば同じこと。フランスの駅の風
 景と思えば、それも風情か。
  私達も皆の後に続く。座席は指定され
 ていない。空いているコンパートメントに落ち着いた。

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【お城から見たカン:落ち着いた良い町だった】

       

  電車はシェルブール行き。カンまでは約2時間、ノンストップであった。切符は自宅のインターネットで買ったのだが、一人片道15ユーロ(約1600円)。考えられない安さである。

  カンの駅では翌日のBayeux(バイユー)行き普通電車の切符を買う。特急の切符は自宅で買えるが、普通電車は現地でしか買えない。それに、前日までに買っておくのが鉄則。乗る直前に買うこともできるが、窓口が
 込んでいることが多く、発車時間までに買えないこともあるのだ。窓口では、旅行相談をしている人さえ時々いる。
 そんな時、後ろで待っている人のことは全く考えずにのんびり話している。駅員も大勢の人が並んでいても急ぐ様子はない。一度なんか、ようやく私の順番が近づいたと思ったら、《昼食の時間だ》と言って窓口を閉められてしまった。さすがにこの時は唖然としたが、フランス人は《仕方がないなあ》という表情で別の列に並び直していた。
 勿論、近距離の場合は自動券売機もあるが、カードを持っていないと利用することができない。したがって、私はいつも乗る前日までに買うことにしている。

  インターネットで予約してあるホテルは町の中心部にある。トラムに乗って行く。切符の買い方(自動券売機)をトラムを待っている若者に聞いて買った。1回1.3ユーロだった。一度覚えてしまえば、もう自由にトラムを利用することができる。フランスでは多くの町にトラムが走っている。環境やエコの問題からの脱却を考えているようだ。
 ゆっくりだが便利。

  ホテルはすぐに分かった。ノルマンディは、南仏と比べると物価が少し高い。ホテル代も1部屋(2人)64ユーロ。
 ネットでは評判の良いホテルだ。陽気なマダムに迎えられた。
  少し休んだ後、マダムが紹介してくれた近くのビストロで昼食を採った。
  
【サーモンのパイ皮包みとシタビラメのグリル:美味しかった】

  ******

 【アクシデントその1】
  
活気のある街並みをブラブラしながら男子修道院へ向かう。
 「雨、大丈夫かしら?」と女房。「傘持ってこなかったの?」「仕方ないなあ。じゃあホテルに戻って持ってくるからここに居て」と言って、小生ホテルに戻る。ホテルは昼間は無人になっていて、裏のドアから番号をインプットして入る仕掛け。部屋から傘を持って外に出ようとすると、ドアが開かない???何故?中からは自由に出られると思っていた。
 
開かない!
 
マダム!ムッシュ!と大声を張り上げても返事がない。《し〜ん》と静まり返ったまま。
 家内や同行のNさんの携帯電話に電話しても応答がない。きっとおしゃべりに夢中なのだろう。
(>_<)
 さてさて
どうしたものかと思っていたら、同行のOさんが表のドア付近でうろうろ。さては、なかなか戻らない私のことを心配して見に来てくれたのかと思ったら、「トイレに行きたくなってホテルまで戻ってきた。」と。
 何はともあれ、裏のドアに廻って貰い、番号を入力してドアを開けることができた次第。
  後で、マダムにこのことを言うと、何のことはない。壁のボタンを押せば中からでもドアは簡単に開けることができた。

 
  

 【アクシデントその2】
  
現在は市庁舎になっている男子修道院は、カンの観光の目玉である。修道院といえば女子だけかと思っていた。中庭は綺麗に手入れされていたが、季節柄かそこには私達しかいなかった。1066年の創設というから、1000年も前から存在する。《この庭を見て、人生を省み、心癒された人が何百万人もいたのだろう》と思うと、歴史の重みと同時に宗教の偉大ささえ考えてしまった。私達は思い思いの時を楽しんだ。

  時間もかなり経ったので帰ろうと思い、出口を探す。当然、入り口の反対側のドアか、入り口と兼ねていると思って行ってみたのだがドアが開かない。他のドアも開けてみようと試みたが、厚い木のドアはビクともしない。
 《ドンドン》と叩いてみても全く応答がない????
またしても閉じこめられてしまったようである。(>_<)
  
長い時間が経ったような気がする。(本当は5分位だったかもしれない)何のことはない、金具のフックを上に上げればすぐに開けることができた。あ〜疲れた!

3月06日(火) バイユーへOne dayトリップ                          Caen/Hotel Courtonne 泊

 隣町のバイユーへタピスリーを見に行く。ノルマンディの、いや、フランスの宝である。ノルマンディ公ウィリアム
 による英国征服の戦いが約70mのタペスリーに描かれている。麻布に毛糸の刺繍が施されている。
その繊細さ、
 色使いの微妙さは見事というほかない。
それが1000年も前のものというのだから、もう驚きを通り過ぎてし
 まう程である。
必見!

     
    
 【タピスリーの一部:パンフレットより】長さ69.55m 幅50〜55cm)
 【バイユー大聖堂】       
  

3月07日(水)Caen(La Gare)14h10----(bus)----16h06Honflour       Honflour/All Seasons Honflour泊

  午前中、曇り空で風も強い。お城の中のフランドル絵画中心の美術館に行く。昼用にサンドイッチを持って行くが、あまりの風の強さ、寒さで、バスの出る国鉄の駅までトラムで出て、そこで食べることにした。しかし、駅の待合室はあまり雰囲気が良くなかったので、そそくさと食べ、隣のバスセンターの待合室でバスを待つことにした。

 【アクシデントその3】

  発車時刻の5分位前になり予定の1番線にバスが入ってきた。待っていた乗客たちは我先に乗り込む。私達は大きな荷物を持っているのでバスの腹にそれを入れてから乗り込んだ。
 
「ボン・ジュール!」女性の運転手さんと気軽にあいさつをする。「オンフルールに行きたいのですが・・・」と言うと、「??」反応が怪しい。「このバスはオンフルールに行きますか?」と再度確認すると、《行かない。オンフルールへは、隣の2番線のバスだ。》というのだ。私達はビックリして降りて、バスの腹からバゲージを出し、急いで隣に停まっていたバスに乗り換えた。《おかしい!バスセンターの電光掲示板には確かに1番線から出る》と書いてあったはず。何の連絡もなく、2番線に変わるなんて、やっぱりフランスでは注意しないと大変なことになる。《乗ったときに聞いてみて良かったなあ》と思っていると、1番線に停まっていたバスの乗客が全員、2番線のバスに、つまりは私達が既に乗っているバスに乗り換えて来るではないか。どうやら、みんな間違えて乗ってしまったようだ。バスが丁度タイミング良く1番線に入り込んで来たので、皆確認をせずにオンフルール行きのバスと思いこんで乗ったらしい。偶然私が行き先を確認したので間違いであったことがわかったのだが、もし、そのまま発車していたら、みんなどこへ連れた行かれてしまったのだろう?
  
《こんな時、フランス人はどんな反応をするのかなあ》とのんきなことを考えた。ツアーでは味わえない一駒でした。

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  バスは、ノルマンディの海岸線を快調に走った。小さな村、名も知らないが大きな町を通り過ぎる。軒先をごとごと走ることもある。鉄道の旅と違い、バスの旅は生活の匂いを感じ取ることができる。フランスの北の高級リゾート、ドービルの町は、流石に大きなホテルやカジノ、そして山の手には豪邸が並んでいた。
  バスは定時にオンフルールに到着した。ところが、バスを降りるやいなや急に激しい雨が降り出した。ホテルはバス停から近くであったが、雨の激しさにビショビショに濡れてしまった。

          
         
         
               【雨上がりのオンフルールの港】

3月08日(木) オンフルール市内散策
Honflour/All Seasons Honflour泊

  
  
【まさに絵に描いたように綺麗なオンフルールの港】

  オンフルールに行ったらまず「ブーダン美術館」と思っていたら、《冬季は午後からしか開かない》ということが分かったので、市内をブラブラしながら街の中心にある《サント・カトリーヌ教会》に行く。珍しい木造の教会だった。中に入ると思いの外広い。薄暗い中に、外からの光線がまぶしく差し込んでいた。
 空いている椅子に座って、しばし休む。そして、これからの平穏な日々を静かに祈る。

珍しい木造のサント・カトリーヌ教会の外観と内陣 裏山の頂上からオンフルールの街を望む
遠くにセーヌ川に掛かるノルマンデイ橋が見える

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  午後からブーダン美術館に行く。 《ウジェーヌ・ブーダン》は印象派の祖といわれ、クロード・モネの師でもある。
 ブーダンの作品を始め、19世紀印象派クールベやモネの絵画を数多く集めた美術館である。旅行案内書には必見とあり、期待していたのだが、スペースが狭く、展示の仕方がなんとなく雑然としていた。また、狭い館内に団体の女子高校生の声が時に響くなどして、静かに鑑賞する雰囲気でなかった。私の絵画鑑賞は《心の癒し》が目的だけに少し消化不良の部分が残った。
(>_<)
 
3月09日(金)Honflour8h10--(bus)--8h27Le Havre9h30--(bus)--10h31Etretat15h06--(bus)--Le Havre 

Le Havre/Novotel Le Havre泊


  ビュッフェスタイルの美味しい朝食を済ませ、バス停に向かう。
 落ち着いたオンフルールの街での思い出が快く頭をよぎった。
 2泊がアッという間に過ぎた。また機会があったら訪れたい町の一つである。
  カンからオンフルール経由でル・アーブル行きのバスは結構込み合っていた。とにかくバスの本数が少ない。次のバスは午後。
 車社会なのだろう。
  バスはセーヌ川に架かるノルマンディ橋を渡り、予定通りル・アーブルに着いた。バスセンターのすぐ前のホテルに予約しておいたので、ホテルはすぐに分かった。朝早いのでチェックインは無理だろうと思っていたらOKという。荷物をそそくさと部屋に入れて、再びバスセンターへと向かった。

  朝早いバスセンターは閑散としていた。エトルタ行きのバスはどこから出るのか。停まっていたバスの運転手に聞いても《あっち》と言うだけでよく分からない。うろうろしていると《エトルタに行くなら、2番からですよ》と日本語が聞こえた
(^_^)/~

   ******

  バスはル・アーヴルの町を抜け、ノルマンディの小さな村に寄りながら快調に走る。だが、しばらくすると《エーッ?》霧が出てきた。しかもドンドン濃くなる。《これじゃ、何も見えない》《着く頃には晴れますように!》《今日このままの時は、また明日来ようか》などなど・・・。
 
 
【霧に煙るエトルタ海岸にて】

バスセンターで声を掛けてくれたYさんと
カメラマン(?カメラウーマン)は奥様
クロード・モネも描いている 午後からは晴れた(^_^)/~:カモメも元気

3月10日(土)Le Havre17h00---(inter city)---19h10Paris/St.Lazare                   Paris/corail Hotel泊

 ル・アーヴルの町は第2次世界大戦で壊滅的な破壊を受けた。ところが、建築家オーギュスト・ペレによって再開発され、現在は調和のとれた、後世に残るすばらしい町に変身した。その都市計画が認められ、2005年にユネスコから世界遺産として認定された。現在もトラムの建設など、市民にとって住み易い町造りが続けられている。

モネ・ブーダンを始め印象派のたくさんの作品を
マルロー美術館でたっぷり観賞した後、
クロード・モネの「印象・日の出」が描かれた河岸にて
サン・ジョセフ教会 ル・アーヴルの駅でパリ行きの電車を待つ
すばらしい思い出を残し、
1週間のノルマンディの旅が終わった


                                             
                                     
240424


 

ノルマンディ 〜印象派を訪ねる〜

☆☆☆ 2012年3月5日(月)〜10日(土) ☆☆☆