槍・穂の大展望:笠ヶ岳

8月9日(木)〜11日(土)

              

恒例になっている夏山山行で、山仲間7人と一緒に2泊3日の日程で、盛夏の北アルプス笠ヶ岳へ山行する。
          





8月9日(木)

天気予報では今日と明日は晴天が続きそうである。
10人乗りレンタカーで6:40名古屋を出発する。
東海北陸道を走り、高山から平湯を抜け、9:50新穂高の駐車場に到着する。
準備を済ませ、10時過ぎ今日の宿泊地「鏡平山荘」に向けて出発する。


バスターミナル横の蒲田川の橋を渡り、左俣沿いの林道を行く。
行く手には笠ヶ岳方面の山がよく見渡せる。


11:20笠新道登山口に着く。


そこからしばらく歩いて11:35ワサビ平小屋に着き、ここでしばらく休憩をする。
冷やしたトマトをおいしそうにほおばっている仲間もいる。




更に小屋から1時間ほど歩き、秩父沢への登山道に入る。
ゴロゴロした岩の道を上がり、13:15秩父沢にかけられた橋を渡り休憩する。




徐々に急になるダケカンバの繁る道を上り、イタドリヶ原を通って14:45シシウドヶ原に着く。


このころよりややガスが上り始め、槍穂高連峰はガスの中である。
最後の急になった谷道を上り午後3時半前やっと鏡池に着く。


すぐに鏡平山荘で受付を済ませる。
部屋は2段ベッドで、我々のグループだけで上段を使うことが出来ゆったりと寝られそうである。
夕食を食べている頃から槍穂高方面のガスが切れ、槍ヶ岳から穂高連峰にかけての稜線が顔を出し始める。


夕食を食べた後、槍穂高の夕焼けを見に鏡池に行く。


眺めていると連峰に夕日が当たり、刻一刻と赤みが増して来る。


鏡池の湖面に赤く染まった槍の穂先がくっきりと映り、感動的な風景が現れる。


ここには数度来ているが、このような素晴らしい槍穂高連峰の夕焼けは初めてである。
午後7時近くまで夕焼けに染まる景色を眺めている。
暗くなり部屋に戻り、明日に備えて早めの午後8時前には就寝する。



8月10日(金)

朝4時前に起床する。
外はまだ明けやらぬ槍穂高連峰が薄明かりの中シルエットで浮かび上がっている。


4:30に朝食を食べ、5:10山荘をあとにする。


まだ明けきらぬ中を弓折岳の稜線に向けて登って行く。
振り返れば徐々に白み始める中、槍ヶ岳の左肩の空が白み始める。


徐々に登っていくとは昨日泊まった鏡池や鏡平山荘が下の方に小さく見える。


6:10弓折乗越の稜線に出る。


ここから稜線の道を左に折れ、笠ヶ岳を目指す。
左手には穂高連峰も徐々に姿を現す。


朝の澄んだ空気の中気持ちのいい稜線歩きを続け、6:18弓折岳山頂に着く。


ここから少し下って大ノマ岳を目指す。


たおやかな稜線の道の稜線漫歩が続く。


大ノマ岳にかけてのお花畑には色とりどりの夏の高山植物が咲いている。




秩父平を目指して気持ちのいい歩きが続く。


カールの底の秩父平からは北に薬師岳の雄姿が姿を現す。


稜線に向けて残雪の残るカールを登って行く。




稜線に出るとガスが切れて笠ヶ岳が完全に姿を現す。


少し登って抜戸岳に出る。


大きな門のような抜戸岩を抜けると笠ヶ岳が近くなる。


ここを抜け、急坂を登ると笠ヶ岳山荘が間近に見えてくる。


雪田を渡り、テント場を過ぎ、11:30やっと笠ヶ岳山荘に着く。


予定より早く着いたので山荘前でゆっくりと休憩し、名物のスイカを食べる。
乾いたノドに皆おいしそうで、槍ヶ岳をバックに満面の笑顔である。


ゆっくりと休んだのち、12:00空身で笠ヶ岳山頂を目指す。
15分ほどで祠の建つ笠ヶ岳山頂に出る。
笠ヶ岳開山の祖播隆上人をしのび拝礼して手を合わせる。


山頂で槍穂高をバックに全員で記念撮影をする。


苦労して登ってきて、中には感極まり感涙にむせぶ人もいる。
ゆっくりと景色を堪能した後下山にかかる。
今日の小屋は比較的空いているようで、8畳ほどの部屋を我々だけで独占出来る。
夕食までの時間山談義などでゆったりと過ごす。
外はすっかりとガスに閉ざされ、今日は夕焼けを見ることが出来ない。
夕食後7時過ぎには布団を敷き早めに就寝する。



8月11日(土)

午前4時に起床して外を覗くと一面のガスが立ち込めている。
朝食を済ませ、5:50小屋をあとに下山の途につく。


ガスで何も見えない稜線を歩いていくと、徐々にガスが切れ始め右下に杓子平のカールが見えてくる。


7:00抜戸岳手前の笠新道分岐に着く。
右にひと登りして杓子平のカールめがけて下っていく。
ガスが段々と切れ始め、前方の穂高連峰も顔を覘かせるようになる。


途中ではツアーの団体か大勢の登山客が休んでいる。
杓子平のカールはお花畑が広がり気持ちのいいところである。


7:50杓子平を過ぎ、いよいよ急坂を下り始める。
お花畑やダケカンバの林を下り、途中展望のきくところからは目の前に槍穂高のパノラマが広がる。


いやになるほどのジグザグを繰り返し、10:30やっと笠新道入口の林道に飛び出す。
3日間の行程をほぼ終わり皆満足そうな顔で、思わず万歳の声があがる。


1時間ほど林道を歩き、小雨がぱらつき始めた中を11:30新穂高に戻る。
すぐ近くの日帰り温泉で汗を流し、昼食を摂る。
東海北陸道を走り、お盆の帰省ラッシュで渋滞する一宮ICを過ぎ17:30名古屋に帰ってくる。



3日間とも天気に恵まれ、夕焼けに染まる槍穂高連峰が映る鑑池、笠ヶ岳山頂からの大展望など夏山の醍醐味を満喫できた山行であった。
笠ヶ岳は北アルプスの中でも独立した山でなかなか行くことができなかったが、やっと念願がかなった山行であった。
何より事故もなく参加された皆さんが全員元気に歩き通すことができたのがいちばんよかった。
また来年の夏もこの仲間でどこかへ行くことを誓い散会した。

                           山遊人