ビットコイン考案者
AFP=時事 3月7日(金)7時37分配信
【AFP=時事】(一部更新)米誌ニューズウィーク(Newsweek)は6日、幾年にもわたり謎とされてきた「中本哲史(Satoshi Nakamoto)」として知られる仮想通貨ビットコイン(Bitcoin)の考案者の正体を特定したと報じた。この名前はこれまで「偽名」と考えられてきたが、なんと本名であることが分かったという。
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同誌の記者は、ロサンゼルス(Los Angeles)郊外の質素な2階建て邸宅で暮らす鉄道模型が好きな「ドリアン・S・ナカモト(Dorian S. Nakamoto)」という名の64歳の日系米国人物理学者にたどり着いた。
だがナカモト氏はビットコインの考案者であることは直には認めず、記者が玄関のドアをノックした際には、警察に通報したという。だが、同誌によると、ナカモト氏は「もうそれには関与していない。話すことはできない」「既に他の人々の手に渡っている」と述べ、ビットコインの発明に貢献したことを暗に認めた。
同誌によると、ナカモト氏は1949年に日本で生まれ、10年後に米国に移住した。カリフォルニア州立技術専門大学(California State Polytechnic University)で物理学を学び、米政府や政府の下請け企業でシステムエンジニアとして機密職務に従事するなどしたが、2002年からは定職に就いていないという。
■政府や金融機関に不信感
2009年に立ち上げられたビットコインは、違法薬物取引や資金洗浄に利用されて問題にもなっているが、金融界に革命をもたらしたとして称賛されている。だがニューズウィーク誌によると、一方のナカモト氏は、余暇の大部分を趣味の鉄道模型に費やし、ビットコインのコンピューターコードを開発したことから得られる莫大(ばくだい)な富を享受しているようには見えないという。
ナカモト氏の家族は、同氏がビットコインに関与していることは知らなかったと話している。弟のアーサー(Arthur Nakamoto)さんは兄のことを「非常に頭が良い人間」で、「数学、エンジニアリング、コンピューターなど、何でもこなせる」と説明している。
だが同時に家族は、ナカモト氏が、自由論を強く信じ、プライバシーを非常に重視し、政府や金融機関への不信感を持つ人間だと語っている。
ナカモト氏が2度の結婚でもうけた6人の子どものうちの1人、アイリーン・ミッチェル(Ilene Mitchell)さんは、父親から「政府の言いなりにはならないように」と言い聞かせられて育ったと話している。
「中本哲史」氏が2008年に執筆したビットコインの論文には、信用して手数料を支払うことが必要な金融機関を通さない電子マネーシステムの必要性が強調されている。
■コード開発の報酬はビットコイン
論文には「必要なのは、信用ではなく暗号化された証明に基づく電子取引システムであり、これにより希望する二者が信用できる第三者機関を介さずに直接取引できるようになる」と書かれている。
アナリストらは、論文で考案されているネットワーク構成について、中央銀行を通さずにビットコインを発行でき、取引記録を保ちつつも分散計算を通じてユーザーの匿名性を保てる点で、非常に優れていると話している。
ビットコイン財団(Bitcoin Foundation)の主任研究員ギャビン・アンドリーセン(Gavin Andresen)氏はニューズウィーク誌に、サトシ・ナカモトという名の男性と1年間にわたりネット上でやりとりをしてビットコインのコードを改良したと話している。だが、電話で話したことはなく、男性の私生活については何も聞かなかったという。「彼は、自分の匿名性を保つために非常に気をつかっていた」「わたしたちはコードについてしか話さなかった」
ニューズウィーク誌によると、オリジナルコードの開発者らへの報酬は全てビットコインで支払われた。ナカモト氏に支払われた報酬は現在の相場で4億ドル(約412億円)になっているとみられるという。
同誌は、ナカモト氏自身の写真の他、米カリフォルニア(California)州ロサンゼルス東郊のテンプルシティー(Temple City)にある自宅や自家用車のトヨタ・カローラ(Corolla)の写真を掲載。自宅には取材陣が詰めかけており、読者からは、プライバシーを求めていたナカモト氏の実名や自宅の場所を公表した執筆者のリア・マグラス・グッドマン(Leah
McGrath Goodman)氏を非難する声が上がっている。
【翻訳編集】 AFPBB News
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140307-00000002-jij_afp-int.view-000から