「とうとうコロナ(オーロラ爆発)が」

 10年来、オーロラの追っかけをしてきたが、20日から21日の未明にかけて、ここフェアバンクスの空に現れたオーロラは最も規模雄大で、動きの激しいものであった。22時ころ、家内が北東の空に大きな光の弧を見つけた。早い時刻に最初から高い位置にオーロラが現れると、それは大きな活動が予測できる。

 22時過ぎ家内にに起こされる。北東の空に太い光の弧がかかっている。Yellowknifeのライブ中継ではすでに天頂を緑の帯が走っている。オーロラ楕円もレベルが上がり、やがてレベル8に達した。期待に胸が膨らむ。

 期待通り動きが激しくなり、日付けが変わる頃からはカメラにとらえるのが難しくなった。全天で動き回るオーロラは魚眼レンズでも使わない限り、全体を撮ることは不可能だ。これぞと思うところを切り取るのだが、あっちにもこっちにも魅力的な動きがあり、右往左往の連続だ。

 光の帯が天頂の一点(北斗七星のあたり)へ収束したかと想うと明るく光る。コロナ(オーロラ爆発)だ。これが数回繰り返された。ところがカメラで真上を撮るのは難しい。防寒具で身動きを妨げられ、ファインダーを覗くなど、できない相談だ。勘を頼りにレンズを天頂に向け、運に任せてシャッターを押す。

 入道雲の何十倍の大きさの光の渦・縞が天空を覆い尽くす。やがて一段落すると、天空が光の一大ドームのようにわれわれに覆いかぶさってくる。ちょうど光の落下傘の中にいるような感じになる。宇宙に吸い込まれていきそうだ。これはオーロラ・ショーの終盤を意味する。残念ながら、この情景を写真に収めることは、小生の技術・機材では無理だ。相手が大きすぎる。

以下今夜の写真から数コマ紹介して「久也のアラスカ通信」と題した拙文シリーズを終わりたい。
長い間お付き合いいただきありがとうございました。  

               

                      天まで達する巨大な花びら

               
   
                       空を分断する光の束



   待望のコロナ発生(中央上の北斗七星比べるとコロナ大きさが分かる)



                         突然緑色の光を発した


                                                       完


                                                   260323受信分


                  

久也のアラスカ通信

その13(最終回)

杉浦 久也 さん