切れない包丁
他所で料理をするとき気になることがある。ことに外国で痛感することだ。それは包丁が切れないことである 。
昨年フィンランドのアカスロンポロに滞在したときにも、似たようなことを書いた覚えがある。その時は、 近くのスーパーで粒度p1000くらいのサンドペーパーを買って、どうしようもない包丁を一応満足できる切れ味
にした。
昭和一桁生まれのわれわれは、肥後守というナイフが必需品であった。鉛筆削りに使うのはもちろんのこと、 日常の遊びの中でも必需品であった。小生、そのころからナイフを研ぐことが大好きであった。ある時ナイフ
を研ぎ終わり、切れ味を試すために木の小枝を勢いよく切ったところ、勢い余って切っ先が右ももに突き刺さ ってしまった。父に担がれて医者に行った覚えがある。
今回アラスカへ来るにあたりなまくら包丁を予期して、ホームセンターで携帯用のシャープナーを一本購入し 持参した。キッチンを覗くと、色美しいセラミックの包丁セットが揃えてあった。それがすべてのこぎり刃ときた。野菜 を切ってみるが、全く切れない。折角用意したシャープナーは役に立たない。何たることか。
久也のアラスカ通信
昔Chuck自身が仕留めたマウンテンシープ
アメリカ人、とりわけアメリカ人男性にとっては、銃に強い魅力があるらしい。話をするうちに、Chuckが全米ライフル協会(National Rifle Association 略してNRA)の終身会員であることが分かった。NRAといえば強大な政治力を駆使して、銃規制の法案が出されるたびに廃案にしたり、骨抜きにしたりしてきた。多数の児童生徒が発砲事件で死傷する事件が起きるたびに、銃の売買・保持を規制しようとの世論が沸き起こるのだが、結局うやむやになってしまう。その繰り返しが今も続いている。NRAはその元凶ともいえる。この温厚なChuckがNRAの終身会員だというのだ。もっとも、最近はNRAの方針に必ずしも賛成でなく、同協会から頻繁に送られてくるメールも読むことなく、パソコンの「ゴミ箱」へ放り込んでいるそうだ。
ここでお詫びして訂正しなければならないことがある。前々回「ここでは銃規制など話題にもならない」と書いてしまったが、Chuckが言うにはアラスカでも銃規制の問題が、今や政治的争点の一つになっているとのことである。
その8 おわり
260317受信分
その9
杉浦 久也 さん
セラミックの包丁セット