極北トロムソ旅日記


            その12    杉 浦  久 也  さん

3月17日(火)曇り、時々晴れ間あり、3℃

朝食後、二人共熟睡。メードさんが遠慮して、われわれが起きるまで掃除やベッドメーキングを待ってくれていた。すまない。昼近くになってようやく起きる。

昨夜は天候条件はよかったのだが、オーロラの力が弱く不発に終わった。
今日の予報を調べると、オーロラ活動は申し分ない。トロムソのオーロラのレベルは4 Active(活発)である。また、オーロラ可視率は90%以上(真っ赤なリングで表示)である。唯一問題はトロムソの天気だ。今夜から明朝にかけては、曇り・小雨である。

いろいろ考えた挙句、Private Northern Lights Chase(個人オーロラ追跡)を利用することにした。晴天が期待できるは場所へ案内してくれる業者への交渉をフロントのAngelitaに依頼する。3軒ばかり電話で頼んでくれたが、いずれもこの近辺では好天を期待するのは無理だ、との返事だった。

小生が調べたAltaという場所はどうか、と提案したが、「冗談じゃない、Altaは5時間車を飛ばさなければ着けませんよ」と一蹴されてしまった。この種のプログラムは一回5〜7時間で5000〜6000クローネである。片道走るだけで終わってしまう距離だ。今夜の「個人オーロラ追跡」プログラムは諦めるしかない。


オーロラ楕円:Active: 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9(短時間では最高度のHigh+++まで上昇)


      オーロラ可視率図(トロムソは真っ赤な帯のど真ん中)

買い物を兼ねて散歩に出かける。いつもとは違い左回りに海辺の遊歩道を歩く。随分歩いたつもりであったが、行き着いた先はホテルから100メートルくらいしか離れていないあの大きな五差路であった。ホテルを中心に大きく左回りをしただけであった。そこからスーパーまではわずか300メートルくらいだ。

家内が、少しは変化のある食事がしたいというので、野菜、果物、レトルト食品、鮭の燻製、等々を求めた。その間、目についた食品の値段に留意しつつカメラに収めた。

小生の関心事は、アルコール飲料だ。以前、フィンランドのアカスロンポロに滞在した折、ウイスキーを求めようとしたが、スーパーには置いていなかった。別の専門店(と言っても同じ屋根の下にある)でないと買えないようになっていた。ノルウェーも同じように、スーパーではビール以外のアルコール飲料を売っていない。店員に近くに専門店があるか、と訊いたら、一軒もないとのことであった。トロムソの中心街まで行かなければ、ウイスキー1本買えない。ノルウェーではアルコール依存性が少ない、とフロントの若者が言っていたが、なるほどと思った。

今日見かけた商品の値段を見てみよう。


           鮭の燻製(190g)33.40クローネ(kr)(約585円)


             苺(400g)39.90kr(約698円)


          バナナ(1kg)22.50kr(約394円)


              オレンジ(1kg)22.90kr(約401円)


             りんご(1kg)25.90kr(約453円)

         
               重い買い物袋を下げた筆者

夕食後家内の機嫌がますます悪くなってきた。無理もない。フロントのIda嬢によれば、今夜のオーロラの出現予想データは今までに見たこともないほど良いものだそうだ。

それがただ天気の悪いトロムソに来たことで、この絶好機をフイにしていることに家内は腹を立てているのだ。しかも目的地として彼女がAltaを勧めたのにもかかわらず、小生がトロムソに固執したからだ。天気図を見ると、現在Altaには晴天を表す月のマークが記されている!このオーロラの恨みは未来永劫消えそうにない。

家内は、曇った空を見上げてはため息ばかりだ。


                                 「その12」終わり