極北トロムソ旅日記


            その2    杉 浦  久 也  さん

3月7日() 晴れ、薄雲あり。今日の最高温度は3

3時ころ目覚める。防寒具をまとい、玄関から外へ出る。空に星が見える。駐車場を照らすオレンジ色の照明がオーロラ撮影の邪魔になる。玄関脇の縁石に腰を下ろした青年が3人、タバコを吸いながら大声で話し込んでいる。昨夜見かけた新兵さんらしい。ノルウェーでは男女共12ヶ月の兵役義務がある。このホテルは訓練期間中の兵士らの休養施設を兼ねているとのことだ。

天頂付近で光の帯が微かに見えた。部屋に戻り、家内を起こす。カメラを携え再び外へ。あまり寒くない。但し路面が凍っているから要注意だ。北西の空き地まで移動する。雪が残っているところのほうが、滑らず安全だ。5時近くまで頑張るがほとんど収穫なし。微かなオーロラの兆候を数コマ捉えられたか?

7:30まで仮眠。

起床、シャワーを浴びる。

8時すぎ朝食:果物・野菜サラダ/シリアル・プルーン+スキムミルク

又々家内より部屋替えの注文が出る。Andreas君に伝える。すると、今日は都合で部屋替えができないが、明朝自分がフロント当番をするからその時に部屋替えをしよう、との返事をもらう。いずれにしても煩わしい客と思ったに違いない。

テレビでBBCニュースを観る。1年前に乗員乗客239人を乗せたまま行方不明になったマレーシア航空370便について報道していた。まだこれといった手がかりもないらしい。昨年のちょうど今頃、小生アラスカのフェアバンクスにいて、この事故のニュースを聴いた。今も鮮明に覚えている。

11時過ぎ、窓越しに海を見る。強い南風が吹き寄せ、海面に白波が立っている。家内が海辺の散歩を提案。あまり気乗りしなかったが、付き合うことにする。

食堂の東側の出入り口から外へ出る。雪面が固くなっていて、比較的歩きやすい。海辺の歩道へ出て、西に向かって1キロばかり歩く。強風に吹き飛ばされそうだ。幼い子供を連れた若夫婦に出会う。


                  海辺の散歩道

         
              夏の出番を待つ双胴ヨット


                    荒れる海


                波と戯れる子供達


                   散歩中の筆者

昼食には、昨日スーパーで求めた鱈のフライを食べることにした。冷凍食品として売られている。Andreas君に電子レンジの使い方教えてもらう。サムスン製のレンジで食堂の片隅に設置されていて、泊り客が自由に使えることになっている。

鱈のフライは4切れ箱に入っていた。1切れ当たり2分の加熱で試したところ、上々の仕上がりであった。塩加減が絶妙で、缶ビールを飲みながら賞味する。

午睡

16時ころ目を覚ます。西の空が晴れて、日が差している。オーロラを追っかける者にとって、晴天ほど嬉しいものはない。今夜の期待が膨らむ。


           当地で初めて見る晴れた空

ところがこの天気、夜が更けるにつれ全天雲に覆われ、なんと雨まで降ってきた。万事休す。諦めるしかない。

暇に任せて、「極北トロムソ旅日記」と題して、雑文を書き始めた。夕食は手製のサンドウィッチで済ます。

天気は一向に回復しない。星一つ見えない。さすがの頑張り屋の家内も眠ってしまった。


                               「その2」終わり