極北トロムソ旅日記


            その5    杉 浦  久 也  さん

10日(火)昼間晴れ、夜雪・3/2

昨夜も結局オーロラの待ちぼうけに終わった。

目を覚ますとめずらしく青空だ。10時過ぎ、散歩を兼ねトロムソ市街まで歩く。昨日に比べ道にぬかるみもなく歩きやすい。


                 うれしい青空


                  道沿いの民家

          
               トロムソの寿司屋の看板


                  トロムソ中心街


               対岸に見える北欧教会堂


            (上空から見たトロムソ[Wikipediaより])

普通に歩けば30分ほどで中心街に着けるのだが、重い防寒靴でゆっくり行ったので1時間もかかってしまった。何年か前真夜中に、沿岸急行船に乗り込んだ波止場を懐かしく思い出す。対岸の北欧教会堂の優美な姿に感動を覚える。観光案内所の白い建物を見つけ入る。ホテルのマネージャーから、案内所のスタッフの中に日本人女性がいると教えてもらっていた。しばらく待ったあと、その女性から話を聞いた。商売熱心のせいか、明日のオーロラ・ツアーに参加するように強く勧められた。当方の希望に耳を傾ける態度が見られず、良い印象が得られなかった。パンフレットを貰うだけで辞去した。

家内が足の痛みを訴えたので、路線バスを利用することにした。運転手に小生の年齢82歳、家内の年齢75歳を伝えると、無言のまま半額で切符を切ってくれた。たった10分足らずの乗車で正規の乗車賃が一人50クローネ(875円)もかかるのだが、高齢者割引のおかげで一人25クローネで済んだ。北欧の高福祉社会の一例を見た気がした。

この間スーパーで求めた冷凍食品ボローニャ・パスタを加熱し、昼食とする。

昼寝。

16時過ぎ、目を覚ます。

家内が食堂の様子がおかしい、と言う。今までは午後11時まで自由に出入りし、コーヒー・紅茶などを飲めたのだが、今日はドアが閉じられていて入れない。

フロントのAndreas君に理由を尋ねると、困ったような顔をして答えた。経営者の方針が変わり、朝食後は食堂を閉鎖することになった。合理化の一つだ。その代わり、地下の一室にコーヒー・お茶のセルフサービス機能を移し、従来通り宿泊客が自由に利用できるようにする。これがAndreas君の苦しい説明だった。

試しに地下室へ行ってみると、コーヒー、紅茶のセルフサービスの道具が備えられ、コーヒーも一種類だけ飲むことができた。食堂ではカプチーノやエスプレッソなど10種類くらいコーヒーを選んで楽しむことができた。それに比べれば、簡素化しただけでも合理化ということか。

昼間の間、久しぶりの晴天で希望が膨らんだのだが、夕刻に至り西から雲が広がり始め、夕闇とともに雪が舞い始めた。今夜もオーロラを諦めなければならないようだ。まるで我慢会だ。

The Norway Post紙の電子版に載っていた警察関連の話題二つ

1)「ノルウェーの警察力記録的強化

            

2012年ノルウェー警察学校卒業生の9割が警官として就職した。昨年の卒業生の88%が現在警官として勤務している。2014年末には警官の数が15495人で、2年間で725名増加した。現在現役の警察官の数は史上最大で、この警察力の急増はヨーロッパ全体から見ても注目に値する。

このような目覚しい常勤警察官の増強により、緊急事態対応力が改善され、捜査能力が増した。法務大臣アンダース・アヌンドセンは、2020年末までに、住民1000人当たり警察官2名にする目標を立てている。この目標達成には増員を継続し、毎年警察学校で720名の新入生を受け入れる予定である。ちなみに昨年の警察学校受験生数は4200名であった。

2)「オスロのスリ発生件数半減」

           

オスロのスリ発生件数は過去2年間に44%減少し、2008年当時のレベルと同じになった。2012年の17778件、2013年の14656件に対し、2014年公共の場所でのスリ発生件数は9950件であった。

これは警察がスリ対策特別チームを編成してスリの撲滅に努力した結果である。同時に一般市民がスリ被害に遭わないように心がけるようになったのも、スリ発生件数の減少につながった、と警視総監は述べている。

とは言っても、スリの検挙が易しくなったわけではない。2012年以降検挙された235人のスリのうち、ノルウェー人が5人、10人中7人までがルーマニア人、ほかに主だったグループがポーランド人、北アフリカ人、チリー人、アフガニスタン人であった。

                                「その5」終わり