トロムソ便り 2016    その2

杉浦 久也 さん

 まずトロムソ(Tromso)の位置は北緯694058秒・東経185634秒である。因みにわれわれ夫婦がもっとも頻繁に訪れたフェアバンクス(Fairbanks)は北緯645017秒、西経14743 35秒に位置している。従ってトロムソは北極圏(北緯6633分以北の地域)の中にあるのに対して、フェアバンクスは北極圏から約160 km南に位置している。北極圏内では冬太陽が出ない極夜、夏太陽が沈まない白夜があるが、フェアバンクスではそれがない。今の時期トロムソの暦を見ると妙なことが書いてある。日の出時刻12:00 AM、日の入り時刻12:00 AMつまり両方が同時刻なのだ。実際には太陽が地平線下にあるので、日の出も日の入りも起こらない。ただもっとも明るくなる期間帯だ。

 真冬にトロムソを訪れたのは初めてであり、北極圏内での極夜がいかなるものか実感できた。受付の娘さんが言うには、1月21日に今季はじめて太陽が地平線上に姿を覗かせるのだそうだ。だから、今の時期は太陽が地平線間近に登ってくるので、見事な朝焼け兼夕焼けが南の地平線上空に繰り広げられる。とりわけ昨日(114)は美しかった。


 

                    1月14日正午ころの朝・夕焼け


 正午の前後2時間くらいは明るいが、それ以外は薄暗がりから暗闇の世界に変わる。車はヘッドライトをつけっぱなしで走る。街灯や屋内の照明も長時間点灯される。電力の消費も多いはずだ。


 

             1月9日午前10時ころのスーパー

 オーロラの出現する時刻も午後6時くらいから始まり、第1ラウンドが終わるのは午後9時ころである。オーロラ撮影者にとっては、楽な時間帯である。もっとも第2、第3ラウンドと続くことも多いから、そんな時は長い徹夜を覚悟しなければならぬ。

 昨年にくらべ今回は晴天にめぐまれ、しかもオーロラ活動が一致したために、かなり数多くのコマ撮りができた。一昔前、アラスカでフィルム撮影をしていたころは、零下30度でのフィルム交換に泣かされたものだ。デジタルカメラになり、自由に好きなだけシャッターを押すことができる。ありがたいことだ。


 

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                        フィヨルドをよぎるオーロラ


                                                その2 おわり



                                                     20160115