部屋にもどり荷造り。11時のチェックアウトまでに終えねばならない。
これから引っ越しするNarwal B&Bから、チェックイン時間15時前に来られても、待ってもらうところがない、というメールが来ている。そのことをJohnに話すと「うちのラウンジを使ってください」との親切な申し出でに甘え、15時まで待たせてもらった。
15時、John君が車で私どもを荷物と一緒にNarwal B&Bまで送り届けてくれた。彼の親切心には頭がさがる。いよいよ別れるとき、かれがぽつりとこう言った。「明日から家内とイスラエルへ旅行するんです」。なんでも奥さんのデビーさんはユダヤ系の方で、親族に会いに行くのだそうだ。それにしてもそのような海外旅行の準備で忙しいときに、われわれのために「おもてなし」を優先する彼に感謝をこめて握手した。
このNarwal B&Bもグレートスレイブ湖畔にある。今までお世話になったベイサイドB&Bから湾を隔てた向かい側にある。日本式に下足を脱ぎオーナーのCathyさんの案内で2階の事務室へ通される。物静かなJohn 君とちがい、はっきりした口調でてきぱき、と仕事をこなす女性経営者といった印象を受けた。10代後半と思われる娘のレイチェル(後で21歳と判明)、大型犬シベリアンはじめ3頭の飼い犬、に引き合わされた。ハスキー犬たちはよくしつけられており、客に対し友好的だ。
Wi-Fiのパスワードを教えてもらい、部屋へ案内される。最初の2晩と最後の4晩は別の部屋になっている。
最初の晩は1階のArctic Room(北極部屋)という寒そうな名の部屋である。暖房がしっかりできていて寒くはない。隣の部屋は若い女性のフリージャーナリストが泊まっている。
さて、われわれを部屋に案内し、このB&Bでの生活の基本を簡単に説明したあと、キャシー、レイチェル母娘は、泊り客をほったらかしたまま、犬を連れ湖面へスキーをしに行ってしまった。のんきなものである。
スキーで出かける母娘と犬たち。対岸に今まで世話になったB&Bがある。
私は独りで、近所の散策に出た。高級住宅もある。近くに店はなさそうだ。
近所の立派な住宅
生活道路。除雪がしっかり行われている。ここも速度制限最高30kmだ。
夕食:赤飯で引っ越しを祝う。
全天雲で覆われていたが、雲を通して光が動くのがわかる。オーロラ活動が雲の上で盛んにおこなわれている証拠だ。残念だ。
仕方なく、B&Bのラウンジでスティーブンソンの名著「宝島」の原書を見つけ読み出す。家内の方はオーロラを諦めきれず、雲越しにおぼろげながら移ろう光をいつまでも追い続けていた。
つづく
170401
イエローナイフ旅日記 (14)
杉浦 久也 さん