平成22年度
一日一句 365句
八 月
1日 絵を抜けし志功の女酔芙蓉
2日 月下美人我が家に思はぬ人だかり
3日 遥拝といふ語のありし雲の峰
4日 ままごとのまるちゃん逝けり赤のまま
5日 夏真昼球児てふ名の高校生
6日 過ちは再三再四広島忌
7日 ままならぬ逢瀬逢引星祭
8日 西瓜吊るす記憶の井戸の深かりき
9日 すは喧嘩夜店の前に人だかり
10日 睦言の聞こえ来るなり土手涼み
11日 もの言ふ目もの言はぬ目や藍浴衣
12日 盂蘭盆会うからやからの団子鼻
13日 棚経や足袋の小はぜのきつかりし
14日 敗戦忌美食も美酒も遠ざけて
15日 流灯の滞りをる去りがてに
16日 宿浴衣盆踊りの輪に迎へられ
17日 書き慣れし奉修特別大施餓鬼
18日 灯火管制解けて銃後でなくなりし
19日 道照らす裸電球村祭
20日 納涼船堀川沿ひの裏の窓
21日 縁台や風情楽しむ蚊遣り豚
22日 奥飛騨や茶房に吊るす唐辛子
23日 地蔵盆菓子貰ひに子ら集ひ来し
24日 民宿の名は浦島や鯖火燃ゆ
25日 赤とんぼ軍歌軍機にありし名ぞ
26日 朝顔を這はせし庇軒連ね
27日 神賭けての恋一夏で終りけり
28日 哲学のテツに浸りて夜の秋
29日 煽られて秋刀魚に飛び乗る炭火かな
30日 避暑期去り去りし三三五五の人
31日 さりげなき言の葉重し秋隣
220801