平成22年度
一日一句 365句
十 二 月
1日 街騒やリカちゃん人形冬着着て
2日 電飾を括りつけられ冬木立つ
3日 木枯や言葉をにごす癖がつき
4日 平積みのノムさんの本冬ぬくし
5日 風に吹かれ雨に叩かれ濡落葉
6日 狐火を見しと言ひふらしつつ老ゆ
7日 老い二人猫も割り込む炬燵かな
8日 何がしの感慨今も開戦日
9日
10日 時雨るるや長谷の薬舗の陀羅尼助
11日 話し込み湯豆腐全部浮き上がり
12日 日向ぼこ天下国家ボヤキ合ひ
13日 猪口才な奴めどてらが似合うとる
14日 木枯らしや終着駅に向かふ旅
15日 義士の日や吉良家菩提寺人絶えね
16日 貧乏と貧困は別どて煮食ふ
17日 なにぬねの貌して見られ居る海鼠
18日 河豚刺や人情薄き世に生きて
19日 このことはマル秘と釘さすおでん酒
20日 肌合わぬ人真ん前に年忘
21日 柚子湯などなかりし頃の貰ひ風呂
22日 燗熱しそっくり返ってゐるするめ
23日 と或る晩の鰭酒に酔ひ痴れし店
24日 今は昔カラヤンの第九聴きに行きし
25日 自爆テロ絶えぬこの星降誕祭
26日 掛け軸を赤富士に替へ年用意
27日 捨てるものなきまで捨てて煤籠り
28日 つけ忘れ目だって多き日記果つ
29日 失せ物を探しあぐねて年つまる
30日 日めくりを今年もめくり終へにけり
31日 大晦日康直てふ名を脱いで寝る
221201