9月19日(日)〜20日(月)
秋分を控えて、今年の夏の異常な猛暑もやっと去り、秋風が吹き始めた季節
の移り変わりが感じられる中、南アルプス最北部の鳳凰三山に山行する。
鳳凰三山は、ずっと以前から一度は訪れてみたいと思っていた山であったが、
天候が悪く計画が中止になるなどしてずっと行けなかった山である。
やっと山仲間3人と一緒に3連休を利用して1泊2日の日程で行くことができる。
今回は、青木鉱泉からドンドコ沢沿いの道を登り、鳳凰小屋で泊まって、
2日目に稜線まで登り、地蔵ヶ岳から観音ヶ岳、そして薬師ヶ岳の鳳凰三山を
巡り、中道と言われる御座石のある尾根道を青木鉱泉へ下りてくるコースである。
今回は、カメラを忘れてきてしまい、同行した人のカメラを貸してもらってで撮って
もらった写真である。
9月19日(日) 青木鉱泉〜鳳凰小屋(泊)
朝4時に名古屋を出発して中央道を走り、須玉ICを出て、釜無川支流小武川沿いに1時間ほど走り、青木鉱泉に7時過ぎに着く。
連休のためか駐車場はほぼ満車状態である。
水飲み場横に駐車をして、準備を整え午前7時半過ぎ出発する。
天気は薄曇りであるが、雨の心配はなさそうである。
青木鉱泉の前を通り、ドンドコ沢沿いの登山道を登りだす。
このコースは、大きな滝が連続して現れる谷沿いの変化に富んだ登山道である。
南アルプス入門の山として人気のある山なのでさすがに登山者は多い。
大きな堰堤を2つほど過ぎ、山腹に取り付いてジグザグ道を2時間登り9時半
前に最初の滝、「南精進ヶ滝」に出る。
この滝は2段に分かれた立派な滝である。
ここを過ぎるあたりから急になり、木の根の張り出した段差の多い道を高度を
上げて行く。
途中「鳳凰の滝」という滝もあるが、地図にも乗っていないのでここには立ち
寄らず、次の「白糸ノ滝」へ11時前に着く。
滝前の休憩地では大勢の人が休んでいる。
ここの滝はそんなに大きくはなく、下の方が滑滝状になっているため白糸の滝
と付けられたのか?
ここから道は更に傾斜を増し、11時半過ぎに最後の滝「五色ノ滝」への分岐へ
と着く。
荷物を置いて、谷沿いに10分ほど行くと、大きな一枚岩の上からしぶきを
あげて流れ落ちる五色ノ滝下に出る。
3つの滝の中でこの滝が一番立派である。
滝下でマイナスイオンをいっぱいに浴びながらしばらく遊んで、分岐へ戻って
最後にゆるくなった道を登ると樹間に鳳凰小屋が見えてくる。
午後1時やっと小屋に着き、受付を済ませ、別館2階の部屋に入ることができる。
鳳凰小屋は、南アルプスの小屋らしく、あまりきれいではないが、小屋の方々は
親切である。
今日は布団一枚に一人のスペースである。
連休初日の昨日は倍くらいの宿泊者がいたそうである。
また、横のテント場も、せいぜい2、30張のスペースに昨日は53張ものテント
が張られ、まさに足の踏み場もなかったそうである。
夕食までの時間を小屋前のテーブルで昼食を摂りながらのんびりととする。
仲間の一人が、この夏「日本百名山」の完全踏破を成し遂げたので、ワインを
持ち寄ったりして遅ればせながら仲間で祝福をする。
小屋前で憩っているうちにどんどんと登山者が登ってきて、その多くがテント泊り
の人たちで、夕方には昨日にも増してテントの数が増え、まさに立錐の余地も
ないくらいである。
小屋の人が懸命に交通整理をしているが、遅く来た人の中にはテントは諦めて
小屋泊りに変更する人もいる。
午後5時半に、この小屋定番のカレーの夕食を食べた後、7時半の消灯まで
布団の中で歓談し、早々に就寝する。
夜中にトイレに起き、外に出てみると星が瞬いており、明日の天気はよさそう
である。
9月20日(日) 鳳凰小屋〜地蔵ヶ岳〜観音ヶ岳〜薬師ヶ岳〜青木鉱泉
朝4時半ごろ起床する。
雨は降っていないが、あまりすっきりとは晴れていない。
今日は稜線へ出て三山へ登り、一気に下山するロングコースである。
5時半に昼食を食べ、支度を整えて、6時に出発する。
小屋横から地蔵ヶ岳に向けて登りだし、最後は花崗岩のザレて滑りやすい急登
を50分ほど登って稜線に出る。
他のどこの山から見ても特徴的なオベリスクの立つ地蔵ヶ岳山頂が間近である。
振り返れば雲の間から富士山も頭を出している。
稜線からは西に甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳が指呼の間に聳えている。
北岳は赤抜沢の頭に隠れて見ることができない。
仲間からオベリスクの頂上には立ったことがないと聞いていたが、山頂に
立っている人がいたので下まで行ってみる。
下から見上げていると先行の人が苦労しながらも何とか頂上に立っているので、
我々も順番を待って登ることにする。
基部の花崗岩を登って、最後の10m以上はある垂直に立った二つの岩峰の下
まで行くと、岩の割れ目に山頂から何本もフィックスロープが垂れ下がっている。
右足の置き場には何とか靴先を引っ掛けるくぼみがあるが、左足は割れ目に
引っ掛けて登るしかない。
ロープにつかまりながら何とか頂上近くまで登るも、最後の一歩を掛ける
足場がなく、必死の思いで体を岩の上に乗り出し岩峰の頂上に立つ。
他の仲間3人も無事頂上に立つことができ感激している。
二つの頂があり、4、5人は上に立つことができる。
さすがに頂上からの眺めは絶景であり、富士山や北岳もよく見える。
下りがまた大変であり、ロープにつかまり垂直の壁に体を乗り出し何とか
岩峰の下まで下りることができる。
1時間ほどオベリスクを登るのに費やし、8時に観音ヶ岳に向けて出発する。
賽の河原を通り、赤抜沢の頭を経て観音ヶ岳を目指す。
雨が少しぱらつきだすもカッパを着るほどではなくすぐに止む。
途中振り返ると先ほど登ったオベリスクの山頂に人が立っているのが
小さく見える。
だんだんと天気も良くなり、青空も広がってくる。
観音岳の登りでは山腹の木々の草モミジがすでに始まっており、秋の山を
感じさせる。
9時半前に観音ヶ岳の山頂に立つ。
山頂からは富士山、南アルプス、八ヶ岳、遠く北アルプスの穂高連峰と日本の
主だった山々がすべて見渡せる。
展望を堪能し、観音ヶ岳を後に、20分ほど歩き10時過ぎ最後の薬師ヶ岳に着く。
ここの山頂でゆっくりと憩い、早めの昼食を摂り、最後の鳳凰三山からの眺めを
堪能する。
11時前に青木鉱泉に向けて下山にかかる。
中道と呼ばれる尾根上の道は下り始めてすぐに森林帯に入り、40分ほどで
御座石という大きな岩のあるところを通り、あとはひたすら日も差さない
じめじめした道を下る。
1時間半ほどでカラマツ林に出て、さらに下るとやや傾斜の緩くなったササの
生い茂る道を下り、しばらくで林道を横切る。
そして最後の山腹のジグザグを下ると登山口である林道に飛び出す。
そこから30分ほど林道を歩き、ドンドコ沢を渡って青木鉱泉に午後2時過ぎ
無事帰り着く。
韮崎近くの日帰り温泉で汗を流し、中央道に乗り帰途に着く。
3連休の最終日のため、恵那山トンネルの手前から渋滞が続き、
やっと土岐IC近くで抜け出し、途中夕食を食べ9時過ぎ名古屋へ帰る。
今回の山行ではカメラを忘れるというヘマをしてしまい、一緒に行った人の
カメラを借りて写真を撮る羽目になってしまい、反省しきりである。
念願の鳳凰三山は、期待に違わずいい山々であり、南アルプスの入門には
最適である。
コースもいろいろととることができ、何よりも稜線からの展望は超一級であり、
四季を通じて楽しい山行ができる山である。
オベリスクの頂上にも立つことができ、仲間3人とも満足のできた山行では
なかったかと思う。
山遊人
|