検査せず放置

   2012.3.13 17:56

 AIJ投資顧問による年金資産消失問題で、2005年以降、証券取引等監視委員会に対し、AIJに関する情報が4件寄せられていたにも関わらず、今年1月に検査に入らず、放置していたことが判明した。迅速に検査を行っていれば被害の拡大を防げた可能性があり、今後、情報収集や活用のあり方を見直す。

 自見庄三郎金融担当相が13日の閣議後の記者会見で、監視委の情報受付窓口に外部から4件の情報が寄せられたことを明らかにした。専門誌「年金情報」の関係者からも09年2月以降に監視委と金融庁に数回の情報提供があった。

 自見金融相は情報の内容を明らかにしなかったが、AIJの不自然な運用を指摘するものだったとみられる。すぐに検査に入らなかったことについては、「一般論として、監視委は寄せられた情報の内容、重要性、有用性に応じて必要な対応を行う」と述べるにとどめた。

 監視委の対応が遅れた背景には、限られた人員で効率的な検査を行わないといけない事情がある。

 監視委の受付窓口には年間6千〜7千件の情報が寄せられる。さらに、検査対象業者は、証券会社やAIJのような投資顧問会社など約8千業者に上る。

 これに対し、検査担当職員は11年度で293人(財務局含む)しかいない。結果的に、検査は金融システムへの影響が大きい証券会社が中心になり、情報提供への対応は「明らかな証拠があった場合」(監視委関係者)などに限られるという。

 今回のAIJ問題で情報を有効に活用できなかったことを受け、自見金融相は「さまざま批判を真摯に受け止め、金融庁、監視委における情報収集・活用のあり方を含め、再発防止に取り組みたい」と述べた。検査を担当する人員の増強なども検討する方針だ。


http://sankei.jp.msn.com/economy/news/
                    120313/fnc12031317570013-n1.htm


監視委にAIJ問題で4件の情報