G20と欧州
危機意識の緩みが心配
ギリシャ債務危機の本質は何ら改善されていないのに、欧州をはじめ世界に危機感の緩みが出ていないか心配である。
先進国に新興国を加えた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、「ユーロ圏による対策強化が不可欠だ」と指摘して、欧州に一段の自助努力を求め、国際通貨基金(IMF)の融資枠拡大に関する議論を先送りした。
欧州連合(EU)、わけてもユーロ圏諸国は、ギリシャ発の債務危機の連鎖が金融危機へと発展しかねない事態への対応で後手に回ってきた。G20が欧州自体の行動を強く迫ったのは当然である。
ユーロ圏諸国は先週、超緊縮財政を条件としたギリシャへの第2次支援策でようやく合意した。欧州中央銀行(ECB)による金融市場への大量の資金供給もあり、イタリアなど他の南欧諸国の国債金利は安定的に推移している。
今回、欧州諸国の間では危機は一服したとの空気があったのも事実だ。ドラギECB総裁も閉幕後の記者会見で、「昨年11月のカンヌG20首脳会議時に比べ、安定している」との認識を示した。
だが、ギリシャ国内はストやデモが吹き荒れ、その緊縮財政、債務削減の行方は予断を許さない。債権の半分放棄にどれだけの銀行が応じるかも不透明である。
ドイツなど北方の経済優等生諸国は国民の強い反発を受け、南欧諸国への資金支援には相変わらず抵抗している。「今そこにある危機」は収束したとは言い難い。
そうでなくても、イラン核開発をめぐる情勢緊張で原油が高騰して新たな不安定要因になっている。欧州には世界経済安定化への応分の責任を自覚してほしい。
今回のG20では、最大5000億ドルのIMFの融資枠拡充が議題とされながら、欧州自らの融資能力の増強策を踏まえて、4月のG20で再度協議する、とした。
EU独自の融資枠拡充の中身も決まっていない現状では、その前に「欧州がやるべきことがある」と、米国がIMFの支援強化に反対したのも分からぬでもない。
だが、G20も、危機克服への結束を強調しながら緊張感を欠く議論に終始したのは否めない。2008年のリーマン・ショックの克服を目的に会したG20もまた、その使命を考えれば、今回、協調策を具体的に示せなかった点を重く受け止めてしかるべきだろう。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/
120228/fnc12022803150000-n1.htm
S&P
ギリシャを選択的デフォルトに格下げ
ロイター 2月28日(火)7時20分配信