「原発の是非に触れるな」
小中学校の教員で組織する福島県教組によると、親の間では被ばくの影響について見方が割れ、学校や教委に「放射線の危険性について認識が甘い」「不安をあおり、過保護にするな」など正反対の苦情が寄せられている。放射線量が高い地域の小学校教諭は「親の意向で弁当を持参して給食を食べず、屋外での体育を休む児童がいるが、他の親たちに批判的な空気も生まれるなど厳しい状況にある。副読本や県教委の指導は福島の現実に即していない」と指摘する。
県教委学習指導課は「大半の教員は放射線の素人で、教え方がばらついても困るので副読本に沿うようお願いしている」と話す。
副読本を作成した文部科学省開発企画課は「地域や教員によっては物足りないと感じるかもしれないが、自治体教委の要請もあり、放射線について最低限必要な知識を伝えるために作った。使うも使わないも自治体教委の自由だ。来年度も作ることになれば、意見を踏まえて充実させたい」と説明している。
★放射線教育の副読本 文部科学省が小中高校別に3種類作り、A4判18〜22ページ。「100ミリシーベルト以下の被ばくでがんなどになった明確な証拠はない」としつつ「被ばく量はできるだけ少なくすることが大切」とし、中高生には防護や避難の一般的方法も説く。だが、福島第1原発事故への言及は前書きのみで、事故の経過や放射性物質汚染の広がりなどは書かれていない。その一方で放射線が医療や工業、学術研究で役立っていることを強調している。
毎日新聞 2012年3月22日 2時30分(最終更新 3月22日 7時30分)
http://mainichi.jp/select/science/news/
20120322k0000m040159000c.html
福島県教委:指示 現場は混乱