IT技術で復興支援

 
2012.3.9 20:25 ネット社会

  
 

 東日本大震災の被災地で、大手電機メーカーがIT技術を活用し復興を支援している。富士通は宮城県石巻市で在宅医療を行うチームにインターネット上でソフト利用やデータ管理を行うクラウドサービスを提供。NECは津波被害を受けた農地の塩分濃度を遠隔測定し、土壌の改善に貢献している。企業側も被災地で得たノウハウを今後のビジネス展開に生かしたい考えだ。

 
「クラウドサービスによる情報共有の効果で効率的な活動が可能になった」

 昨年9月から石巻で在宅医療活動を始めた東京都文京区の「祐ホームクリニック」の武藤真祐理事長は、こう話す。

 武藤理事長は週に4日現地入りし、別の医師3人と看護師2人、スタッフ7人でチームを組み、1チーム当たり1日12人の患者宅を訪問している。

 富士通から無償で提供を受けたクラウドサービスは、患者の診察や投薬状況の管理のほか、効率的なルート設定などに利用している。携帯端末を使い、移動中に診療記録を入力したり、診療の日程の調整なども行ったりすることができる。

 被災地だけでなく、全国的に高齢化による病床不足で在宅医療のニーズが高まっている。「業務の効率化によって患者に向き合える時間が増え、医療の質を高めることができる」(武藤理事長)というIT技術への期待は大きい。

 NECはNTTドコモなどと組み、塩害を受けた農地に通信機能付きのセンサーを設置して塩分濃度のデータを収集し、土壌改善の効果を継続的に把握する取り組みを行っている。宮城県岩沼市のトマト農園などで成果を挙げ、栽培再開にこぎ着けた。

 村田製作所も近く東北大や仙台市のITベンチャー企業団体と組んで同様の支援事業を始める。同社では将来的に農地の遠隔監視システムとしてビジネス化することを検討している。

 沿岸部で被災者の高台移転が進めば、住居と農地が遠く離れてしまうという問題点が指摘されており、東北大大学院農学研究科の中井裕教授は「遠隔監視技術は、課題解決のカギになる」と指摘している。


http://sankei.jp.msn.com/economy/news/
                     120309/its12030920270000-n1.htm



富士通はクラウドで在宅医療 NECも遠隔操作で土壌改善