携帯カンニング 防止策

特定できます=精度向上、座席単位で―「抑止力に」・東工大など

時事通信 2月24日(金)5時1分配信


 携帯電話を使ったカンニングが昨年問題化したが、東京工業大などの研究チームは、携帯電話が発する電波から、どの座席で使っているかを特定する技術を開発した。

 京都大などでは昨年、受験生が試験中に携帯電話のメールでインターネット掲示板に問題を投稿し、解答を相談する事件が発生。今年の大学入試センター試験では、携帯の持ち込み制限や監視強化が行われるなど、各大学とも対策に頭を痛めている。

 東工大大学院理工学研究科の阪口啓准教授らの研究チームと電子機器メーカーの光電製作所(東京都大田区)は、受験会場の四隅と中央に複数のアンテナを設置。捉えた電波の距離や角度から、どの座席で携帯を使っているか特定する方法を開発した。ただ、この方法では誤差が約3メートル生じ、受験会場の座席間隔(約80センチ)より大きいため座席を特定できなかった。

 そこで、あらかじめ各座席ごとに携帯電話の電波の飛び方を調べてデータベースを作成。試験の際は、実際に受信した電波の特徴をデータベースと照合し、特定の精度を向上させることにした。

 114席ある教室で実験したところ、平均誤差は約42センチとなり、電波のみを使った方法に比べ約10倍精度が向上。座席の特定もほぼ可能になった。

 阪口准教授は「データベース作成の自動化やコストダウンができれば実用化につながる。会場にアンテナのダミーを置くだけでも抑止力になる」と話している。