図:AIJが運用を任された年金資産の流れ

 独立系投資顧問会社のAIJ投資顧問(東京都中央区)が企業年金から運用を任された年金資産約2100億円の大半を消失させた問題で、同社が資産を英領ケイマン諸島のファンドなどを経て、香港の欧州系大手銀行に移していたことが証券取引等監視委員会の調べでわかった。ただ、その後のお金の流れが確認できていないため、監視委はほかの使い道に流用した可能性も含めて資産を海外に移した目的を詳しく調べる方針だ。

 監視委の検査で不正が裏付けられれば、金融庁はAIJの資産運用業者としての登録を取り消す方針だ。AIJは廃業となる見通し。資産を預けていた企業年金の財務が大きく悪化し、加入者にしわ寄せが出る恐れもある。

 監視委の調べなどによると、AIJは、個別の企業や中小企業などが集まって、公的年金の厚生年金と合わせて運用する企業年金「厚生年金基金」などの年金資産を運用していた。大手投資顧問会社を上回る高い運用実績を宣伝する手法で顧客を拡大。昨年3月末現在、約120の基金と契約を結んでいた

http://www.asahi.com/business/update/0225/TKY201202250247.html

ケイマン経由で香港

「AIJ投資顧問」企業年金資金消失問題 租税回避地の英領ケイマン諸島を通じ資金を運用

フジテレビ系(FNN) 2月25日(土)18時24分配信

「AIJ投資顧問」が運用していた企業年金資金およそ2,000億円の大半がなくなっていた問題で、AIJ投資顧問が、租税回避地のイギリス領ケイマン諸島を通じて資金を運用するなど、資金の流れや運用の実態の一部が明らかになった。

自見金融相は24日、「投資者の利益を害す事実がある。(AIJ投資顧問に対し)1カ月の業務停止命令および業務改善命令を出した」と述べた。

24日、金融庁から業務停止命令を受けたAIJ投資顧問。

消えた2,000億円以上ともいわれる年金基金の運用の流れが、判明した。
関係者によると、AIJ投資顧問は、企業などの顧客から運用を任されていた年金資金のほとんど全てを、同じビルに入っている実質的グループ会社の「アイティーエム証券」を通じて運用していたため、国内のほかの会社のチェックが働きにくくなっていた。

またAIJ投資顧問は、資金運用を租税回避地で、金融当局の監視が届きにくいイギリス領ケイマン諸島のファンドで行っていたことも判明した。
このため、外部からは資金の流れや運用の実態がさらにわかりにくくなっていたということで、証券取引等監視委員会は、どのような資金運用で損失が膨らんだのかや流用の可能性がなかったのかなどについて、くわしく調べを進めていく方針。

一方、岡田副総理は、この問題に関して、「金融機関、銀行とかですね、そういうところに比べれば、はるかに国の監督は厳しくないわけで、今後、検討しなければならない問題だと」と述べ、投資顧問会社に対する国の監督強化を検討する必要があるとの認識を示した。

最終更新:2月25日(土)18時24分


年金資産、 AIJ投資顧問