【ワシントン=山田哲朗】米国の原子力専門家で作る米原子力学会は8日、福島第一原発事故は、日本の規制当局が津波の危険性を過小評価したため起きたとする報告書を発表した。

 報告書はまず、「地震と洪水が、原子炉の事故を招きかねない要因となることは知られていた」と指摘。今回の規模の津波が「千年に一度」の頻度で起こるという日本で広く知られていた前提を勘案すれば、同原発の津波に対する設計基準は不十分という結論が出るはずだと指摘した。

 日本の規制の大枠は、まず想定される津波の高さを決め、それに耐えられる設計基準を定めていく仕組みだ。こうした規制方法では、不確実な大津波は「想定外」として議論の対象から外れてしまう。

 一方、米国では、過去の津波などのデータをすべて取り込んだうえ、発生確率や結果の重大性を勘案して計算する「リスク情報に基づく規制」が主流だ。報告書はこの手法をとっていれば「設計は不十分だと特定できただろう」と指摘。大津波の可能性が規制に反映され、福島事故は防げたとの認識を示した。

            (2012年3月9日16時02分  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/
                          20120309-OYT1T00363.htm


「千年に一度」を過小評価

米原子力学会