復興特区で東北に新事業を

経団連の米倉弘昌会長

2012.3.9 20:50

 −−震災復興の現状は

 「がれき処理など本格的な復興に備えた準備作業が進んでいない。復興庁ができたのだから、国と地方自治体の壁や、省庁間の垣根を越えて総合的な観点で復興を進めてほしい」

−−行政の対応が遅れているということか

 「非常に遅れていたのは事実だ。今から言っても仕方がないが、菅直人前首相の対応がまずかった。野田佳彦首相はあらゆることをよく理解し、国益や国民生活の観点からみている。過去数代にわたって一番素晴らしい首相だが、ほかの閣僚も同じかというと、そうではないのが残念だ」

 −−救援物資やサプライチェーン(部品供給網)の復旧など企業の対応は早かった

 「経済活動が破壊されたとき、企業は従業員や株主のために復興に向けた意欲を出す。国には官僚がおり、政治家がいるが、何がドライビングフォース(原動力)になっているかわからない。まず被災地のためにどうあるべきなのかということを考えるべきだ」

 −−電力問題をどうみる

 「今まで電力供給の基本的役割を果たしていたのが原子力だ。いったん動かしたら供給量が変動することはなく、火力、水力、風力など他電源との組み合わせができた。発送電分離(が必要)とか言うが、送電線が握られているから独占だというわけではない。政府が何をしようとしているのかさっぱりわからない」

 −−原発の再稼働は

 「短期的なエネルギー安定供給の観点から避けては通れない。前政権時、ずいぶん原発に対する国民感情を反対の方向にリードした形跡がある。定期点検が終わってストレステスト(耐性検査)も合格し、安全が確保された原発は再稼働へ向け政府自ら住民の説得に当たらないといけない」 

 −−復興2年目の経済界の役割は

 「事業を東北地方に持っていきたい。そのため政府に復興特区を設けてくれと要請したが、法人税軽減でも複雑な条件があり、まだ規制緩和が足りない。もっとインセンティブを与え、東北に新しい事業を興さなければ日本の復興はあり得ない。公的な資金は復興のためのインフラ整備に使い、他方で企業意欲をかき立てることによって事業を興す。そうすれば雇用がどんどん生まれてくる」


(マニラ 早坂礼子  産経新聞)


http://sankei.jp.msn.com/economy/news/
                   120309/biz12030920510035-n1.htm