トルコ旅日記

(2012221日〜31)

その3

杉浦 久也 さん

224()カッパドキア/コンヤ/晴れ

820出発。コンヤまで西に向かって215キロ、バスで約3時間の行程である。



                         絨毯専門店

8:30今日真っ先に連れて行かれたのが絨毯の製造・販売専門店である。昨日のトルコ石専門店の場合と同様、はじめに製造工程、原材料の説明などが巧みな日本語で説明される。吉本興業でも喜んで雇ってくれる、と誰かが言っていたほどの話術である。一わたり全体説明が終わると、個別売り込み活動が熱心に行われる。小生は買うつもりなどなかったのだが、別室に連れ込まれとうとう玄関マット一枚を買う羽目になってしまった。

絨毯専門店を後にしてしばらく進むと左手にハサン山が見えてきた。見る角度により、富士山に似た形になる。靄がかかりはっきりしないのは残念だ。



                          ハサン山

1119 Kervansarayという隊商宿泊施設付近の店でトイレ休憩。広大な石造りの施設で13世紀以来のものだそうだ。このような施設は大小の差はあるが、シルクロードに沿って当時の一日行程とされた30キロ置きに設けられていた。荷物はラクダが背負い、人間は馬に乗り移動した。面白いことに隊商の先頭には必ずロバが一頭歩いた。その理由は何か、とキューちゃんがわれわれに質問したが、とうとう誰も答えられなかった。なんでも、ロバは足先が敏感な生き物で、危険を察知する能力に長けているそうだ。そこで隊商の安全を確保するために、ロバを先行させたのだった。



                     Kervansaray

245 元隊商宿を使ったレストランで昼食。絨毯を吊るした入口を通って中に入ると、薄暗い。石の壁や天井が黒くすすけている。昔中で火を炊いたものと思われる。主菜は鶏肉であった。赤ワイン(1グラス7トルコリラ)と共においしくいただいた。




                     
元隊商宿だったレストラン内部

1400 コンヤ到着。市内観光に移る。メブラーナ博物館、さまざまな装丁のコーランが展示されていて壮観であった。館内は撮影禁止であった。またインジェ・ミナーレ神学校は、外から眺めるだけであった。



                      メブラーナ博物館



                      インジェ・ミナーレ神学校

1530ホテルRixosに到着。阪急のツアー団体のスーツケースが所せましと並んでいた。今夜の混雑が懸念される。

630 夕食。案の定大混雑で、料理も満足に取れない。食堂内の料理配置が多人数対応になっていない。料理の補充が迅速に行われず、空のままになっている。これでは遅く来た客は食いはぐれてしまう。エレベーターも数が少なく、いつまでたっても来ない。

2000トルコ伝統の踊りを見物する。入場料一人50米ドルである。話のタネにと、見物することにした。

定刻15分前に行くと、まだだれも来ていなかった。最前列に陣取ることにした。

大部屋の前の方に直径10m位の円形舞台が設けてある。舞台の右手の床に3人の男性音楽奏者が座っている。奥の方から小太鼓演者兼歌手、真ん中が縦笛奏者、一番手前が竿の長いギターのような楽器奏者が座り、演奏を始めた。しばらく演奏した後、一旦奥に引っ込む。しばらくして楽師らが再登場となる。今度は丈の高い植木鉢のような帽子をかぶり、黒いマントを羽織って出てきた。

次いで、踊り手ら4人が同じような出で立ちで現れる。舞台中央でお辞儀をしたあと、舞台の左側に整列し正座する。4人の中一人は黒装束のままだが、他の3人は黒いマントを脱ぎ、白装束となる。すべて男性だが、フレアーのついたスカートを履いており、反時計回りに回転しながら踊る。音楽に合わせ、終始同じ動作で回転するだけだ。残りの一人は黒装束のままで、時々舞台中央に来ては深々とお辞儀をする。その際、両つま先を重ねるようなしぐさをする。

しかしWikipediaによれば、これは単なる踊りではない。祈りと言うべきかもしれない。まずあの丈の高い帽子はラクダの毛で出来ていて、自我を葬る墓石を象徴し、白いフレアーのついたスカートは死者を包む白布を表し、黒いマントを脱ぎ棄てるのは精神を真理へよみがえさせることを示している。最初両腕を前で組むのは一を表し、神の統一性を証言する。そして踊り手は回転しながら両腕を広げる。神の恩寵を受けるため右腕は空に向け、視線を注ぐ左手は地面に向けられる。踊り手は、神の精神的恵みを、この儀式を見守る者たちに授ける。心臓を中心に右から左へ回ることにより、彼は全人類を愛をもって抱擁しているのだ。

われわれ見物人にザクロジュース一杯と縦笛1本がプレゼントされた。踊りが終わった後、縦笛奏者に頼んで吹き方の手ほどきしてもらう。妙な形の吹き口へ唇の右端を添え吹くのだが、息が「スースー」漏れるだけで、あの尺八にも似た音はついに出なかった。部屋に戻った後もしばらく練習したが、結局だめであった。酸素を吸いすぎたためか頭がふらふらした。



                       楽師たち 



                             踊り



                        懸命に笛の練習する筆者


                                                 (その3 終了)

                                                  240305