11月27日(日)
南アルプスの展望を求めて山仲間と飯田市東方の梨子野山
と高鳥屋山へ山行する。
昨日に引き続き暖かな日和になりそうな天候である。
朝6時に出発し、中央道を走り園原ICを出て、R256号を
北上し清内路の村落から右に折れ、かつての「清内路街道」
にあった関所跡を過ぎ、しばらくで橋のたもとに停める場所を
見つけて駐車する。
準備をして8時少し前に梨子野峠へ向けて林道を歩きだす。
「アンコ沢」という看板があるところを過ぎ20分ほどで山道に
入る。
かつては牛馬も通った道であるため幅も広くゆるやかで歩き
やすい道である。
途中には苔むした石仏が路傍に立っており、昔からの街道
の面影がしのばれる。
登山道に入り10分ほどで「中休み」と書かれた手作りの看板
を過る。
谷に沿った登山道を登って行くと親清水・子清水という水場
に着く。
冷たい水でのどを潤し、峠手前の最後の急坂を登りきり、
8:45切り開かれて広い梨子野峠に突然飛び出す。
峠の東には南アルプス南部の連山が屏風のように連なって
見える。
今日は一面に雲海が広がっており、その上に突き出た
南アルプスが墨絵のような大パノラマである。
ここは御嶽山の遥拝所でもあったらしく大きな碑が立っており、
その横からかすかに御嶽山の山頂部が顔を覗かせている。
横には東屋も建っており絶好の休憩地である。
梨子野峠は、由来によると「信長公記」にも出てきており、
幕末には水戸浪士や赤報隊も通ったという歴史的な街道で
あったらしい。
昼神温泉から来る道もこの峠に登ってきている。
15分ほど休憩をして、ここから北へ道を行きしばらくして尾根
上に出ると、右手には木の間越しに南アルプスをずっと見る
ことができる。
クマザサとカラマツの繁る気持ちのよい尾根道を緩やかに
登って梨子野山を目指す。
20分ほどで右手に分岐するクマザサの深い道を5分ほど
入ってみるも山頂はわからず引き返す。
2、3のコブを越えて徐々に登って行くと後には恵那山、
左手前方には中央アルプス最南端の山々が見え出す。
梨子野峠を出て1時間ほどで最後のジグザグの急登を
登りきり、10時少し過ぎ目的の高鳥屋山山頂に着く。
山頂からは東側に展望が開けており、梨子野峠では見え
なかった南アルプスの全山が大パノラマで広がっている。
南から聖岳、赤石岳、荒川岳が連なり、その北には塩見岳
のピラミダルな山頂、さらに北には白峰三山の北岳、間ノ岳、
農鳥岳、そして仙丈ヶ岳とすべての山々が雲海に浮かんで
いる。
少し下には青いトタン屋根の避難小屋がある。
誰もいない静かな山頂でゆっくりと昼食を摂る。
風もない暖かな日差しの中で昼寝がしたいほどである。
ゆっくり休んで11時前に下山にかかり、来た道を引き返す。
登りにはわからなかった梨子野山山頂を探しに分岐を少し
入り10分ほど下るも、結局三角点も見つけることできずわ
からずじまいで残念である。
(あとでGPSの軌跡で確認すると山頂には行っているよう
である) 峠から右にもと来た道を50分ほど下り駐車した場
所に12:40に戻ってくる。
昼神温泉で汗を流し、午後4時前に名古屋に帰り着く。
今回の山行は、古い街道の峠越え道をたどり、梨子野山、
高鳥屋山というアルプス展望に優れた稜線歩きに満足した
山行であった。
特に峠や山頂からの雲海に浮かぶ南アルプスのながめは
素晴らしく、記憶に焼き付いた山行であった。
山遊人