会 長 便 り



令和元年度    平成30年度

平成28年度   平成27年度

平成25年度   平成24年度

平成23年度   平成22年度

平成21年度   平成20年度



          令和2年度


    再任にあたって

       〜今こそ学校・教師の真価が問われる〜      
会長 寺田志郎
H22 明和)



 新型コロナウイルスの蔓延により、5月24日に開催予定の令和2年度総会を実施することができませんでした。役員選考委員会の
ご推薦に基づき、幹事会の先生方による書類での承認により、昨年に引き続き会長職を仰せつかることとなりました。責任の重さを
痛感しておりますが、職責を果たせられるよう誠心誠意務めてまいる覚悟ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、副会長に横山和夫先生、山田賢一先生が、監事には百合草信夫先生、野田隆洋先生の留任もお認めいただきました。四人の
先生方は優れた識見と実践力を兼ね備えておられ、大変心強く思っています。さらに、幹事並びに専門委員会委員長さんを本会報に
記載されている先生方に委嘱しまして、令和2年度の体制が整いました。加古事務局長はじめ事務局の方々と役員一同連携して、ス
ムーズな運営を図り、それぞれの役割を真摯に果たすべく努力をしたいと思っておりますので、会員の皆様方のご支援とご協力をお
願い申し上げます。
 今回のコロナウイルスの感染力とその毒性は、当初考えられていたものよりもかなり強く、2月27日夕刻には、総理大臣から突然、
高等学校と特別支援学校に春休みまで「全国一斉臨時休業」が発表されました。さらに、4月7日には、7都府県に「緊急事態宣言」
が発表され、新学期早々の学校もそれに伴って、再び休校措置をとらざるを得なくなり、その後、全国に拡張されたその宣言は、5
月4日に期間も5月末日まで延長されました。期限を待たず14日に愛知県を含む39県で解除されましたが、3月から約3か月にわた
ってぽっかりと空いた穴をどのように埋めていくのか。再開を果たしたものの、学校での教育活動に大きな制限が加わり、新たな授
業形態の構築や登校に対して様々な考えを持つ保護者・生徒とのコミニュケーションの図り方など、各学校の動向が注目されてきて
いるものと思われます。
 そこで、ちょっと気になる数値があります。「1560」これは今春の公立高等学校の入学者選抜における欠員数です。なぜこんなに
多くの定員割れが起きたのでしょうか。私立学校は、施設・設備の充実に力を入れ、教育環境を整備してきています。情報通信機器
にかかる基盤整備も着実に進み、残念ながらハード面では、劣ることを認めざるを得ない状況です。ソフト面でも「オンライン授業」
など、ICTを活用した学習活動についても遅れをとっていることも事実のようです。しかし、このような形態は、学校の授業の補
填をすることはできても、学校教育の本質には程遠いものであると考えます。
 学習活動の遅れは当然気がかりなところですが、3年生には、部活動ではインターハイ、吹奏楽コンクールや夏の甲子園の中止に
伴う無念の引退による虚脱感、大学入試では「大学入学共通テスト」の枠組みの大幅変更による焦燥感、新入生には、念願かなって
入学した高等学校の長期にわたる休校に伴う新生活への不安感など、「心のケア」が必要不可欠なものとなってくると考えます。そ
の対応を誤ると教育そのものの信頼を失うことにつながり、取り返しのつかない事態になることが心配されます。今この時ほど、学
校・教師の役割が重要視される局面はありません。
 イタリア、ミラノの高等学校長は、「学校は学問を教えるだけではなく、生徒が一市民として、一人の人間として、生きていく術
を学び、成長していく場でありますから、先生には重い責任があるのです。特に今回のような緊急事態を、生徒たちがどう乗り越え
て行けるのか、それを助ける意味でも、学校の先生の役割は大切なのです」とメッセージを送りました。
 高校生の皆さんが、分断された孤独で長い日々を無駄に失われた時間だったと感じさせないよう、これまでの学校の教育指導体制
や生徒の実情に応じて、指導計画を練り直し、教育課程の遂行に精いっぱいご尽力される校長先生方を少しでも力添えできないもの
かと思う次第であります。