会長だより




平成20年3月9日   会長だより(3号)  松原 眞志夫
 
 
1 現職校長会の研究発表会について
 過日、現職の校長会伝統の研究発表会が開催されました。
 
 8件の口頭発表と21件の紙上発表がありました。学校の経営に多忙な校長自身が研究なさることは、学校という教育と研究を旨とする場所で、自ら範を示すという意味で意義あることであると思います。
 
 このうち、福利厚生部会は、研究主査の松井通記校長が発表されました。この研究は、旧会員の会の120名の皆様にアンケートを実施し、分析されたものが中心です。
 
大変ご協力いただき、92.5%という高い回答率をいただいた旨、感謝のことばがありました。
 
 紙面の関係で全部を掲載できませんが、結び近くの3点を転載して協力への感謝に代えます。
 
 生きがいは?については、
   1、趣味、
   2、家族、
   3、友人・知人、
   4、仕事の順で多かった。
 
年齢との関係でいえば、
   1、再就職の期間は、年齢が上がるにつれて長期になる。
   2、年齢が下がるにつれて教育関係以外への再就職が増える。
   3、健康については、年齢が低いうちは適度な運動、
     年齢が上がると健康診断が増える。
   4、生きがいは、年齢が上がるにつれて友人・知人とする割合が増える。
 
 後輩への助言として「老後の幸せは、
    1、家族とともに健康であること。
    2、趣味を持つこと。     
    3、友人を持つこと。
    4、若干経済的にゆとりをもつこと。」
 
 アンケートへのご協力、ありがとうございました。
 
研究発表会は、次年度も旧会員の皆様のために傍聴席が用意されているので、お出かけくだされば幸いです。
 
 
2 エッセイ「問安」(松原) 
 
 日本でいちばん短い感動の手紙は、南極の越冬隊員にあてた母国の若い妻からの手紙だそうである。開いてみると、ひらがなでただ3文字「あなた」と書いてあったという。
 
遠く離れた夫への愛情、長く逢うことができないもどかしさ、無事かどうかの心配などが一言の中にあふれている。達意の文章である。
 
 これと似た経験をしたことがある。旧会員の会の毎年の総会開催の案内状には、返信用のはがきがついていて、それには、出欠の都合を書くところのほかに「近況をお書き下さい」という欄がある。
 
 数年前であったと思うが、1通の返信はがきの近況を記す欄を見ると、「生存」と漢字2文字だけが書かれていた。大先輩からのものであった。
 
その2文字の中に、「近況を尋ねてくれて嬉しいよ。でも、どっこいおれは元気で生きているさ」という、気概というか、ユーモアというか、何ともいえない味のあることばであった。
 
 この達意の文章に感嘆するとともに、互いに問安することの大切さも認識した。
 
機会あるごとに、「お元気ですか」と問うことや問われることの意味は大きい。
 
問安することの大切さは、問安してくれる人がいることの大切さでもある。
 
 俵万智さんに、「『寒いね』と話しかければ『寒いね』と答える人のいるあたたかさ」という歌がある。
 
 私たちの年齢になると、これから50年も生きることもないはずだが、それでも残りの人生が相当期間ある人もあろう。
 
その間を、時には励まし合う幾種類かの仲間があることはありがたい。
 
公的、私的な会などを通じて晴れやかに語り合う仲間があることを大切にしたい。
 
(今年度退職予定校長の会「いねの会」の発足総会でのあいさつに少し加除したものです。)
 
 


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