2月8日(火)パリ、曇り、時々晴れ間あり
9時前に出発。クールセル駅で、ヴェルサイユ左岸(Versailles-Rive Gauche)駅までの国鉄線共通の切符を買う。女性駅員が自動発券機の操作を手伝ってくれた。シャルル・ド・ゴール・エトワール駅で6番線に先ず乗り換え、次にシャン・ド・マール・ツール・エッフェル(Champ de Mars Tour Eiffel)駅で下車。国鉄C線に乗り換え、終点のヴェルサイユに向かう。
途中乗り換えでまごついていると、上品な紳士が丁寧に教えてくれた。原子力発電所建設の仕事で日本に滞在したことがあるそうだ。目的地に着くまで孫娘が話し相手をしていた。外国人に対するコンプレックスがないのはよいことだ。
ヴェルサイユで下車。駅前の店で、入場券(一人15ユーロ)を買い、徒歩で宮殿に向かう。角を左折すると、広い並木道がまっすぐに伸びている。その先に、写真で見慣れたヴェルサイユ宮殿が姿を見せる。金ぴかの御殿である。いかにも権勢を見せつけようとした雰囲気が感じられる。イアフォン・ガイドを聞きながら見学するのだが、説明が冗長に過ぎ、途中で聞くのをやめた。有名な「鏡の間」とか、マリア・テレジアの寝室とか、次々に見て通り過ぎる。
フランス旅日記
屋内の見学を終え、幾何学模様の美しい庭園に出る。
その規模に圧倒される。直線の人工池の長いこと、
先がかすんでいる。しかし、これらを設計した西洋人
たちの美意識は、日本人の庭師のそれとは対極にある。
いかに左右対象、幾何学的形状から逃れ自然の雰囲気を
醸し出すか、に腐心して作られた日本庭園に、私はより
親近感を覚える。
トイレを探すと、庭園右手の林の中に隠れるように設け
てあった。その真ん前に小さな店があり、軽食、飲み物を
売っている。元気な若者がてきぱきと客をさばいていた。
バゲットのサンドウィッチを3本買う。家内は、トマト・
ハム入り、孫と私は、チーズ・ハム入りを注文。石の
長椅子に座り庭園を眺めながら食べる。
昼過ぎ、再びC5番線に乗りオルセー美術館
(Musee d’Orsay)駅で降りる。ここでもまごついてい
ると、ある男性が案内してくれた。その振る舞いが実に
気が利いていて、感心した。階段を先導してくれたあと、
地上に出ると右へ曲がる。すると目の前に巨大なガラス
屋根の建物がある。男性は、両手をさっと建物の方へ
振りながら、「さあどうぞ、お入りください」という
ジェスチャーをした。われわれも見知らぬ外国人が
困っていたら、このような手助けをしたいものだ。
オルセー美術館の豪華な展示作品に驚嘆する。ゴッホ、
モネ、マネ、ミレー、ゴーギャン等々、の作品が目を楽
しませてくれる。朝から歩き回ったわれわれは、もう体
力の限界に達し、17時ころ美術館を退出した。
大庭園で
その5
ヴェルサイユ宮殿めざして歩く
杉浦 久也 さん
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230221